レオナルド・ダ・ヴィンチもやってみた? あなたのためのアイデア発想26
こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第二十六回は、
混ざらないものを混ぜる発想法
先日、三遊亭わん丈さんという落語家さんの独演会に行ってきました。真打になりたての師匠ですが、凄く面白い落語家さんです。で、新作のネタがあったのですが、そのテーマが「水平思考」という以前このアイデア発想でも書かせていただいた発想法でした。
どんなネタかというと「ウミガメのスープ」という水平思考クイズが流行っていて、とある謎について「はい」「いいえ」「関係ありません」のいずれかで答えられる質問をしていくことで、答えを推理していく。この落語では出題者である亭主に対し、女房がその謎をスラスラと解いて、亭主がたじろいでしまうという新作ネタでした。ちなみに「ウミガメのスープ」自体は有名なお話なので興味のある方は検索してみてください。
さて、枕の話はこれくらいで、やっと今回の本題。混ざらないものを混ぜる発想法です。
混ざらないものの代表といえば「水と油」でしょうか。
そんな「水と油」でもあるものを混ぜると混ざりやすくなります。それは何でしょう?ってこのコラムはクイズではないのでお答えすると、「洗剤」を加えて混ぜると分離せずに混ざります。これは、洗剤に含まれる界面活性剤という物質が原因。界面活性剤は、水と混ざりやすい(親水性)と、油と混ざりやすい(親油性)を持っているからだそうです。
このように、何かの課題や取り組んでいる問題と全く関係なさそうなものを混ぜてみると、新しいひらめきが起こるかもしれません。
非常に難しそうですが、やってみましょう。
今回は枕の話に合わせて落語的に考えてみましょう。「なぞかけ」ってわかりますか?「◯◯とかけまして、△△と解く、そのこころは、××でしょう」というやつです。
例えば「船旅とかけて酒を飲み過ぎた日ととく。その心は「航海(後悔)」するでしょう」というようなものです。
今回は発想法ですからオチはなくても大丈夫です。なぞかけのように考えると考えやすいというだけですので。
今取り組もうとしている課題や、解決したい問題と、「まったく関係なさそうなもの」を合わせて考えてみます。
私たちの脳は全く関係ないものでも、何かの関連性を無理矢理にでも見つけ出そうとする傾向があるそうです。
例えば1:カーテンとかけまして、舞台演出と解く、そのこころは煙にまけば見えなくなるでしょう = カーテンの代わりにガラスの間にスモークを焚くというアイデア。
例えば2:ノンアルコールビールは不味いとかけまして、卵かけごはんと解く、そのこころはかけるだけでそのまま美味しい = グラスに注いでからホップの苦味をトッピングする美味しいノンアルビールというアイデア
例えば3:ダイエットが続かないとかけまして、宝くじと解く、そのこころは少額でも当たると次も買っちゃうでしょう = ランダムで思いがけないおやつが届くダイエットアプリというアイデア。
モヤモヤ浮かんでは消えるようなアイデアも、どんなに馬鹿げていそうなアイデアも、「なぞかけ」のように当てはめて、言葉化してしまえば、案外いけるんじゃないの?と現実味を帯びてくるというように感じます。どんどん解決策に近づくようにアイデアを練り直していってください。
本当のことか、自分では直接読んではいないのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチも「混ざらないものを混ぜてみた」とノートに記していたそうです。「モナ・リザ」や「最後の晩餐」に代表されるように優れた芸術家であるとともに、解剖学や天文学、物理学などさまざまな分野で才能を発揮したいわゆる「天才」。
もしかすると、混ざらないものを混ぜようと試みることは、想像もしなかった発見につながるのかもしれません。
この発想法は、コロンブスの卵のように一見誰でも思いつきそうなことでも、それを最初に考えたり行なったりすることの難しさ、つまり、卵を直立させるには殻を破らなければならないというような「盲点」を見つけるヒントにもなりそうですね。
ではまた次回。今回はここまで。おあとがよろしいようで。