負けてる時こそアイデアは生まれる あなたのためのアイデア発想43
こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第四十三回は、
逆転サヨナラ発想法
前回はオリンピック絡みでしたが、いま盛り上がっていると言えば大谷翔平選手も活躍しているWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の野球ですね。野球を見ていると、最もドキドキする場面ってどこだと思いますか?
私はやはり「9回裏の逆転サヨナラ」だと思うんです。ご贔屓のチームが何点か負けていて、もうアウトひとつで終わり、という状況から、最後の一打でひっくり返す。とてもドラマティックなシーンです。
でもよく考えると、逆転サヨナラって「負けていたから」こそ生まれるんです。最初からリードしていたら、ああいう劇的な瞬間は訪れません。ピンチが、あの一打を生んでいるのです。
今回紹介する発想法は、まさにそこ。「問題を解こうとする」から「問題や課題を使う」への転換です。アイデアを考えるとき、多くの人はまず「どうすれば売れるか」「どうすれば解決できるか」という方向で頭を動かします。でも、そうやって前向きに考えようとすればするほど、なぜか煮詰まってしまうことがありませんか?
そういうときは、発想の向きをまるっと逆にしてみてください。「いまどんな問題を抱えているか」を、あえて全部並べるんです。
そして、その問題のひとつひとつを「もしこれが強みだったら?」とひっくり返してみる。これが「逆転サヨナラ発想法」のベースです。
では、やってみましょう。
1:「いまの点差を正直に書く」
いま自分たちが抱えている問題、弱み、ピンチを、できるだけ正直に書き出します。「予算が少ない」「知名度がない」「競合が強い」「チームが少人数」。格好悪くてもいい。むしろ正直に書けるほど、この後の逆転が効きます。9回裏に何点差で負けているかを把握しないと、作戦が立てられないのと同じです。
2:「弱みをひっくり返す」
書き出した問題のひとつひとつに、こう問いかけます。「もしこれが、逆に武器になるとしたら?」
たとえば、「予算が少ない」をひっくり返すと、「お金をかけない工夫が生まれる」。実際、お金がないスタートアップほど、口コミやSNSの使い方が上手いですよね。「知名度がない」をひっくり返すと、「まだ誰にも先入観を持たれていない」。新鮮さが武器になります。「競合が強い」をひっくり返すと、「その市場に需要があることはすでに証明済み」。あとはニッチを見つければいい。みたいに。
3:「サヨナラの一打を選ぶ」
ひっくり返したアイデアの中から、いちばん「これなら今すぐ動ける」と思えるものをひとつだけ選んで、実行に移します。サヨナラヒットもサヨナラホームランでも、一本でいいんです。その一本さえ出れば、逆転できるんですから。
逆転できる人は、「負け」を直視できる人だけです。点差から目をそらさず、いまの状況をちゃんと受け入れている。現実を直視した上で、「それでも勝ち筋はある」と信じて動くことが成功への道につながります。
実は実例もたくさんあるんです。
ドミノ・ピザは「30分以内に届けなければ無料」で有名になりましたが、これも「当時のデリバリーピザは配達が遅いのが当たり前」という負けを自覚し、自分たちの弱みだった「スピード」を業界最大の差別化軸に変え、「最大の約束」にひっくり返した逆転サヨナラ発想ですね。
規格外野菜の直販なども、形が曲がっている、大きさが揃っていない。スーパーの規格を満たさず出荷できない。そんな野菜が大量に廃棄されている。という負けを、フードロス削減という社会的文脈とも重ねて、むしろ共感を呼ぶように、「売れない」野菜を、「売れる理由」にひっくり返した逆転サヨナラ発想と言えます。
他にも「高すぎる」を「プレミアム・こだわり・自分へのご褒美」に。
「遅い・非効率」を「丁寧・手作り・妥協しないこだわり」に、
など世の中を見渡してみると逆転サヨナラがたくさんあることに気づきます。
問題を隠してポジティブに考えようとするよりも、問題を正面から見て、それをひっくり返す方が、ずっと強いアイデアが生まれることがあります。
あなたが今抱えているいちばん大きな「弱み」は何ですか?それが、サヨナラを打つためのボールかもしれませんね。
ではまた次回。今回はここまで。
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