開会式のテーマはArmonia(調和) あなたのためのアイデア発想42
こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第四十二回は、
調和の魔法発想法
先日ミラノ・コルティナ冬季オリンピックの開会式を観ていました。実は私は開会式とか、アカデミー賞の授賞式とか好きでよく見るんですが、今回の開会式のテーマは「Armonia(調和・ハーモニー)」であり、「4つの会場で同時に開会式を行う」という今までにないチャレンジでした。
通常、大規模なイベントは「一箇所に集める」ことで効率と熱量を高めようとしますが、今大会はあえて「広範囲での開催地の分散」を選びました。私たちはついつい「AかBか」という二者択一に陥りがちです。
- 「効率」をとるか「情緒」をとるか
- 「最新技術」か「伝統」か、などですね。
しかし今回は「遠く離れた会場」を無理に統合せず、並列させたまま「共通の糸」を探すように調和させ素晴らしい開会式を実現させました。
これを観ていて距離のあるものや、対立しているもの、噛み合っていない要素同士を
「どうやって無理なく共存させるか」という視点
からアイデアを考える方法もあるなということで、今回は「調和の魔法発想法」です。
やってみましょう。まずは「分断や対立構造」に気づくことから始まります。
たとえば、売る側と買う側、企業と生活者、効率と丁寧さ、価格と品質。私たちの身の回りには、表には出にくい小さな対立構造が数多く存在しています。
やりたいことがあるのに予算が限られている。忙しいのに時間がない、人手が足りないなどもビジネスの現場ではよく聞かれる分断構造ですね。
当社の生業である販促の現場で、こんな声を聞いたことがあります。
「キャンペーンはやりたい。でも店頭がごちゃごちゃするのは避けたい」
売上を上げたいメーカーと、売場の美観を守りたい小売。販売を強化したい販促チームと、ブランドの統一感を守りたいブランドマネージャー。どちらも正しく、どちらも譲れません。このときに「どちらを優先するか」で考えてしまうと、必ずどちらかに不満が残ります。
ここで考えないといけないのは「売るための装飾」と「整った売場」は、本当に相反するのかということです。
情報量は絞り、色数も限定する。その代わり、メッセージの解像度を上げる。売場はすっきりしたまま、詳細な情報はQRやWEBやSNSに飛ばす。結果として売上も伸びるかもしれません。諦めるのは簡単です。どうすればできるかと発想を広げることで、どちらかを犠牲にしたのではなく、両方が納得できる状態をつくれる可能性が高まります。
調和の魔法発想法では、「どちらかを勝たせない」ことがとても重要です。
中間を取ることでも、妥協することでもなく「両立できる新しい関係」を探します。つまり、対立しているものや、どちらかを我慢しないと成り立たない関係に目を向け、「両方が自然に成り立つ形はないか」を考えるという発想法です。
私たちの身の回りにある「ちょっとした不満」や「仕方ないと諦めていること」は無いか考えてみて下さい。そこには、調和の魔法を求めるヒントが隠れています。
例えば、飲食業界:
外食するとき、「手軽に食べたいけれど、ちゃんとしたものを食べたい」と思うことはありますよね。早い・安い・でも美味しくて安心したい。この欲張りな気持ちは、とても自然なものです。
ひと昔前は、「早い=簡単」「丁寧=時間がかかる」というイメージがありました。しかし最近では、調理工程を見直し、注文から提供までは早いのに、素材や盛り付けにはきちんと手をかけるお店が増えています。これは、「スピード」と「丁寧さ」を対立させるのではなく、役割を分けて調和させた結果です。
対立構造の先に、仕方がないと諦めるのではなく、「本当に、その二択しかないのか?」と疑問を持つところがスタートラインです。
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もうひとつ考えてみましょう。身近な例としてコンビニ:
コンビニは便利ですが、「便利な分、無機質」と感じる人もいます。そこで最近は、手書き風のPOPや、スタッフのおすすめコメントが添えられることがあります。
体験を提供するためにゲームマシンを置く店舗も出てきました。効率だけを考えればあり得ませんし、効率を保ちながら、人の温度を感じさせ体験価値を高める。
この組み合わせも、調和から生まれたアイデアですね。
調和の魔法発想法の進め方としては、下記の順番で考えてみて下さい。
-
対立を見つける
-
両方を肯定する
-
役割を分ける
-
我慢している人を探す
-
両立しているか確認する
目指すのは妥協ではなく、両方が自然に成立している状態です。
アイデアに悩んだときは、ぜひ自分自身に問いかけてみてください。
「この場面で、我慢しているのは誰だろうか」
「本当は両立できるのに、分けて考えていないだろうか」
その先には、派手ではないけど、確かな力を持つアイデアがきっとあるはずです。調和を考えることは、あなたの日常や皆の暮らしを少しだけ心地よくするための、発想の技術なのかもしれませんね。
今年はこれから、オリンピックの閉会式、3月はアカデミー賞の授賞式、また今年の6月はサッカーワールドカップといろいろ楽しみがあるので、そこでの新しい気づきもあるかもしれませんね。そういう視点で観てみるのも、アイデア発想の訓練になるように思います。
ではまた次回。今回はここまで。
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