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ワイワイガヤガヤ あなたのためのアイデア発想34

2025.06.15

ワイワイガヤガヤ あなたのためのアイデア発想34

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こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。

 

第三十四回は、

ワイガヤ発想法

今回は、書こう書こうと思いながら、なかなか書けていなかったワイガヤについて書いてみます。

というのも、先日、Z世代(個人的には一人一人違うのにざっくりまとめてしまう表現は嫌いなのですが)の傾向みたいな話をする中で、以前の世代は「自分にしか味わえないもの」とか、「コレクションできるもの」なんかにお金をかけてきたけど、

Z世代の興味は「今しかできないこと」や「応援とか支援するプロセス」「誰かと繋がってできる体験や感動の共有」

など、有形ではなく、無形のものにお金をかけがちという議論で、そういう人たちこそ「ワイガヤ」が合うんじゃないか?と、思ったからです。

 

「ワイガヤ」とはかつて本田技研工業(ホンダ)が実践していた井戸端会議というと少し違うかもしれませんが、ブレインストーミングとも少し違う、どちらかと言うと、コミュニケーションの話だと私は思っています。

 

ちなみに「ワイガヤ」という言葉は、ホンダ社内の造語で、「ワイワイガヤガヤ」からきています。その手法を端的に言葉化すると、

会議や打ち合わせのような形式張った場ではなく、上下関係を取り払った自由闊達なディスカッションの場であり、年齢や、立場、部署に関係なく、誰もが意見を出し合い、ぶつかり合い、アイデアを磨き上げていくプロセス。と書けるかもしれません。

では、やってみましょう。ただし「ワイガヤ」はちゃんとした環境と考え方、ルールを参加するみんなが理解しておかないと、成り立たないので、注意してください。

1、自分の考えを話せる環境づくりとメンバー

ワイガヤの最中は何を話しても良い。今で言う心理的安全性ですね。目的は立場に関係なく、自分の意見を言うことですから、まるっきり関係ない話を振るのもOKという環境、ルールなので、効率を考えたらもってのほかかも知れません。人によってはいい加減本題に入ろうよとキレてしまうかも知れません。でも上司の愚痴や自分だけの話題、新入社員でも自由に話せる環境などは、「自分の考えや本音」を引き出すのにとても大事なことなのかも知れません。あと、社外で話すなど環境を変えるのも良いとされています。
またメンバー的には多様性がある方が良いのはご理解いただけますね。そして、「こんなこと言ったら笑われるのではないか」といった恐れを打破する文化のようなものが大切なのは言うまでもありません。

2、テーマとアイデアのぶつかり合い

テーマとしては「差」しか生まないようなテーマではなく、「新しい価値」を生むためといったテーマが良いとされています。「差」しか生まないようなテーマだと、具体的に昨年度比00%上げるためにとか、現実的すぎてわざわざ皆の時間を使ってワイガヤする必要がないと思います。ちょっとスケールが大きすぎない?というようなテーマが良いと思います。異なる視点がぶつかり合うことで、新たな発想を生むことが大事なので。
例えば携帯電話なら、どんな機能を追加するか?ではなく、「10年後に日本中の女子高生が泣いて喜ぶようなツールとは?」であるとか、家電なら「AIで感情を持った家族のような家電とは?」とか、食品なら「単に栄養摂取ではなく、ストーリーや共感を得るための“食べる”とは?」などと書けばイメージしやすいかも知れません。

3、長期的視点ですぐ結論を求めない

どうしてもコスパ、タイパとすぐに答えを求めがちな現代ですが、目的は「正解を早く見つける」ことではなく、「問いを深める」ことで「新しい価値を生む」ことです。時間をかけて議論してもなかなか辿りつかない時もあるでしょうし、友達感覚で話すうちにポッと生まれることもあるでしょう。いずれにせよ自分の考えをざっくばらんに話しながら、あなたはどう思うのかと問いかけながら、議論していくことです。
ただし、そんなことできるわけがないとか、考えを否定するような議論はもちろん真剣にやれば出てくるでしょうが、だから君はダメなんだなど、人格を否定するようなことはもちろんNGです。

これらに気をつけながら、ひとつずつ考えを紙に書いて貼り出して俯瞰で見たり、1枚のコンセプトシートにまとめたり、ビジュアル化してみたりすることで、メンバー同士の話がかみ合ったりしていくはずです。

 

アイデア発想法の話ですと、ここまでで良いのですが、その上で、実際に実現しようとすると、高いハードルが出てきたり、困難に挑むことを避けようとしたりすることが必ず起こってきます。その時は、やり遂げたいという思いの強い人がリーダーになって「できるまでやる」ことが大切です。自分の考えが原案になっていたりすれば、尚更ですし、長時間ともにワイガヤに参加していた仲間やベテラン社員も縁の下の力持ちとして必ずフォローしてくれるはずですから。

実は、ワイガヤと言うのは一時、古臭いとか、効率が悪いとか、無責任だとか、すっかり廃れていた時期がありました。古き良き時代の遺物のような扱いを受けていた時代もありましたが、個人的には普遍的な活動だと感じています。特に現代においては1周回って、組織や個人のためにも必要なのではないかと感じている今日この頃です。

ワイガヤは、単なる会議手法ではなく、「人が人らしく考え、ぶつかり合いながら、共に創る」ための思想であり、文化であると言えます。「誰かと繋がってできる体験や感動の共有」が重要と考えるZ世代の人にこそ求められる発想法なのかも知れませんね。

ではまた次回。今回はここまで。

 

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