ゴールへの道は1本ではない あなたのためのアイデア発想33

こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第三十三回は、
オプション思考発想法
以前、「IF~もしも思考発想法」というのをこのコラムで書きました。いろいろな「もしも○○だったとしたら」と言う想定でアイデアを広げていくというものです。
→ もしも羽生くんが考えたなら? あなたのためのアイデア発想9 「IF~もしも思考発想法」
同じように、私たちが生きていく中でも、あの時こっちの道を進めばどうなっていたか?あの時が分岐点だったというようなことがあります。ゴールへの道は1本ではないということですね。今回はそんなふうに「これが最善の方法だろうか?」と複数の選択肢を考え、視野を広げていくことで、客観的にアイデアを考えていく発想法です。
では、やってみましょう。
1、まずテーマを決める
考えるテーマについては、漠然としたテーマではなく、目的と目標を具体化しておくことが大事です。
ここでは例えば:「オフィスのリフレッシュスペースのあり方」についてというテーマにしてみます。
2、「オプション(選択肢)」を洗い出す
テーマについて思いつくだけの選択肢をひとまず箇条書きでリストアップします。目的にもよりますが、最低でも3つ以上のオプションをつくるつもりで考えてください。選択肢の数があまり少ないと、無理矢理に決めてしまったり、しっかり比較ができなかったりします。
例えば:ハンモック設置/ミニ図書コーナー/アロマディフューザー/ヒーリングサウンド/ゆったりソファ/ペットを連れてくる/ヨガスペース/ボードゲーム設置など色々な可能性を考えましょう。
3、各オプション(選択肢)を深掘りし、可能性を検討する
それぞれについて単独でのメリット・デメリットとして何が考えられるか、その理由や根拠はあるかなど、そのオプションの解像度を高めます。
理由・根拠例:ペットを連れてくる→「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンの分泌を促進し、リラックス効果をもたらす。孤独感の解消。
また、他のオプションとのシナジー(相乗効果)が生まれそうな組み合わせについても同様に考えます。
組み合わせ例:ハンモック+ヒーリングサウンド→「揺れ」と「音」で瞑想体験を強化などです。
4、それぞれのオプションを評価する
「指標」を考え、それぞれのオプションを評価します。指標については、今回の例で言えば、例えば「コスト」や「利用頻度」「リフレッシュ度」「社内交流効果」などが考えられると思います。それぞれのテーマの状況や目的に応じた評価指標を考えてください。
(テーマが変わると指標も変わります。例えば、「製品の顧客単価アップのアイデア」だと、指標は「製品自体」「価格」「流通」「販売促進」などに変わりますね。)
その上で、3段階で数値化するなどざっくり評価してください。
コスト :安いのが3点、高いのが1点 利用頻度:1日の使用回数が多いのが3点
みたいな感じです。定量的に評価できるとわかりやすくなります。ただしあくまで参考なのであまり深く考える必要はありません。
5、意思決定のための一覧表を作る
評価を一覧表にしてみると、俯瞰して評価できるので、意思決定のための材料として役立ちます。
オプション名 | コスト | 利用頻度 | リフレッシュ度 | 社内交流効果 |
ハンモック設置 | 3 | 2 | 3 | 1 |
ミニ図書コーナー | 2 | 3 | 2 | 1 |
アロマディフューザー | 3 | 2 | 2 | 1 |
ヒーリングサウンド | 3 | 2 | 2 | 1 |
ゆったりソファ | 1 | 3 | 2 | 2 |
ペットを連れてくる | 2 | 1 | 3 | 3 |
フィットネススペース | 2 | 2 | 3 | 2 |
ボードゲーム設置 | 3 | 2 | 2 | 2 |
15分ワークショップ | 3 | 2 | 2 | 3 |
6、意思決定を行う
今回は「オフィスのリフレッシュスペースのあり方」なので、どうすればリフレッシュできるか?どのタイミングが良いか?が大事です。その視点で「どれを選ぶか」ではなく「いつ/どの組み合わせを使うか」を考え検討し、実行に移します。
● 午後の中だるみ対策にはボードゲームや15分ワークショップ
● 朝のリフレッシュにはアロマ+ミニ図書
● ハンモック+ヒーリングサウンドはリフレッシュというより、リラックスしすぎる?でもハンモック+15分ワークショップはアリかも
● 曜日を決めてペットや、フィットネスはユニークなので試そう など…時間帯や用途でオプションを切り替えるプランを作るのが良いでしょう。
このように、「AかBか」ではなく「AもBも、条件に応じて組み合わせる」という柔軟な発想が、オプション思考発想法の強みです。複数の小さな選択肢を設計することで、ニーズに合った答えが見つかります。
ひとつの正解を求めずに「複数の選択肢を持つ」「状況に合わせて切り替える」こと自体をアイデアにするのがポイントです。ぜひ身近なテーマで試してみてください!
ではまた次回。今回はここまで。
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