物語は心を動かす あなたのためのアイデア発想24
こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第二十四回は、
コアクエスチョンストーリー発想法
よくストーリー仕立てで物事を考えろ、変化を連続的に捉えて考えるのが大事、などと言われることがあります。今回は物事を一連の物語・ストーリーとして捉え、表現する発想法です。
課題解決のプロセスや、全体の流れを構成するシーンを可視化することで具体的にイメージしやすくする、そんな課題解決型の発想法です。
では、やってみましょう。
1. テーマ確認
まず、アイデアが必要な「課題そのもの」を確認します。例えば「地域の高齢者の孤独をなんとかしたい」ということに対するアイデアを考えようであるとか、「暑すぎてクーラーをつけっぱなしにしなければならない」ことを何とかしたい!であるとか。アイデアで解決すべき課題をまずは決めてください。
2. 登場人物を決める
次に登場人物は誰で、主人公は誰かを考えます。上記の例で言えば、高齢者ご本人が主人公の場合もあれば、離れて暮らすお子さんが主人公の場合もあると思います。それによりストーリーも変わってくることは想像がつきますね。慣れてくれば別ですが、初めのうちはご自身が感情移入できそうな人やものを想定しつつ主人公を考えるのが、まずは考えやすいと思います。
3. コアクエスチョンを考える
どんなストーリーにも、必ず成し遂げたいと言うような主人公の強く切実な想いが多くのストーリーには必ず入っています。例えば「ONE PIECE」だと「海賊王にオレはなる」でしょうし、いろいろなドラマや映画でもキャッチフレーズになるような「必ず生きて君のもとにもどる」とか、「俺が死んでも娘の仇を討つ」とか、
そんな「強く切実な想い」のことです。
それを質問に言い替えると、「ルフィは本当に海賊王になれるのか!?」「彼は生きて彼女に再会できるのか!?」「娘の仇を討った後に彼の心に去来するものは?」などになります。これがコアクエスチョンです。
コアクエスチョンを考えることで、急になんとかしてあげたい。見守りたい。助けてあげたい。といった感情が芽生えます。それがストーリーを考える核になるのです。
4. 解決方法をセリフとともに考える
その問題をどのように解決するか?また問題が解決された後、登場人物はどうなっているのか?などの体験の流れをストーリー仕立てで言語化します。4コマ漫画や、絵コンテ、ストーリーボードを考えるようなイメージです。
例えば前述の「地域の高齢者の孤独を緩和するサービス」で考えてみたのが下記のストーリーボードです。
事例として何か考えようと描き始めましたが、まさか「在宅ペット預かりサービス」に考えが至るとは。こんなふうにアイデアを自分が思ってもみないところに連れて行ってくれるのが、この発想法の面白いところです。
誰かこのサービス本気で考えてみませんか?ご一報下さい。個人的にお手伝いします!(ホンブチョウ)
5. そのストーリーを共有して広げる
色々なストーリーも視聴者や読者の共感を得られなければダメなように、他人に見せ感想を聞いたり、意見を聞いたりすることで、新たなストーリーが生まれたり、新たな気づきを得られたりします。
他人に見せると言うことは良いことも悪いことも含めある意味評価を受けると言うことになりますが、「なぜこのストーリーは共感が得られないのか?」「自分はこう思い込んでいたけれど、そのように取る人もいるのか!」というように自身のアイデアをより良くするためにどう捉えるか?という視点でブラッシュアップしてください。
先ほどのアイデアでも、「共感はできるが、もしも犬や人が怪我したりしたらどうする?」とか、「そんなニーズはそもそも無いんじゃないの?」とか、「プロじゃない人に預けるのは抵抗があるなぁ」とか、いろんなご意見が出てきました。
もちろん、ご意見に対して反論できるアイデアも浮かびますが、今はその話ではなく、
「ただ言葉で伝えるよりも、ストーリーで人に伝えた方が確実にやりたい事が伝えられますし、聞いている側の人も理解しやすい」ということをご理解ください。。
つまり、この発想法はストーリー仕立てで考え、コアクエスチョンでキャッチフレーズ化することで、
1. 具体的なイメージを描きやすくなる。
2. 時間軸において点ではなく面で考えやすくなる。
3. 人に伝えるときに共感を得やすくなる。
4. 結果、記憶に残りやすくなる。 などの効果があります。
登場人物や、その行動、セリフなどの要素をストーリーの流れの中で考えることで、アイデアの幅が広がり、理解もされやすくなるのです。表現の仕方は自由です。4コマ漫画でも、絵コンテでも、ストーリーボードでも、紙芝居でも構いません。自分に合ったストーリーの表現方法を試してみてください。
では、今回はここまで。また次回。