二兎追うものは? あなたのためのアイデア発想14
こんにちは。ホンブチョウです。この連載コラムでは私が今まで学んできたアイデア発想のやり方を毎回ひとつづつ紹介していくことで、あなたに合ったやり方を見つけてもらいたいと考えています。
第十四回は
二兎追うものは両方得る発想法
今回は2つの相反する要素から考えていく発想法です。虎穴に入らずんば虎子を得ず。という言葉がありますが、これは虎の巣穴に入らない限り、虎の子供を捕まえることはできない。つまり何かを得るためには、他の何かを犠牲にしたり、リスクを取らないと得られない。「一得一失」のようなトレードオフの関係性があるという意味で使われます。「ワークライフバランス」というような言葉も仕事とプライベートの両立は難しいという意味で使われる場合が多いですね。
ですが、「一挙両得」や「一石二鳥」つまり、一つの行動で二つの利益を得ることができるという意味の言葉もあるように、絶対に何かを得ると他の何かを失わざるをえないということはありませんよね。前置きが長くなりましたが、今回は一石二鳥を考えることで、新しいアイデアを生むための思考法です。
では、やってみましょう。
まずどんな利益を生むものや、アイデアをテーマとするのかを一つ挙げましょう。例えばあなたは家電メーカーにお勤めだとして新商品開発を考えるとしましょう。ここでは例として「掃除をする道具」について発想していきます。掃除機ですからやはり「吸引力の強さ」は得たいですよね。次に強い吸引力を求めることで失うもの、犠牲にせねばならないものは何かを考えましょう。
この場合だと、どうしてもエンジン部分が大きくなったり、重くなったりして「取扱の自由さ」を失うのではないでしょうか。
この時、「吸引力の強さ」と「取扱の自由さ」は「一得一失」つまりトレードオフの関係にあるといえます。
それを4象限のマトリクスに落として考えます。縦軸に「吸引力の強さ」横軸に「取扱の自由さ」を記入すると図のようになります。
その上で、それら二つを同時に得ることができる方法。つまり「一石二鳥」なアイデアを考えます。この例でいくと「吸引力が強くて、かつ、取扱が自由で快適な掃除ができる」ものを考えることになりますね。この一石二鳥を実現できれば、高いニーズを満たす商品が創れそうです。
ただ4象限で考えるとわかりやすいように、右上の枠には、ある意味振り切ったアイデアが入るでしょうし、左下の枠に寄るに従ってバランスを取るような方向にアイデアは向かいます。残りの2つの枠はどちらか一方をあきらめ気味なアイデアになるでしょう。例えばこの図のような感じです。
いかがでしょう?右上に向かうに従って、ぶっ飛んだ、振り切ったアイデアになっていくのがわかると思います。ここでは考えていく中で、吸引力が強くないとダメなのは埃やゴミを吸い込む力が欲しいから。しかし埃そのものを無くせば吸引力は不要なのでは?それでも一石二鳥は実現できるのでは?とアイデアが膨らんでいったのがよくわかりますね。
ただここでお伝えしたいのは「振り切ったアイデアだけが良いというわけではない」ということです。そんなの無理だよねと、思考停止にならずに、どうやって打破していくのか?を考えてアイデアの幅を広げるのが大事なのだということはお伝えしておきます。
この発想法は、例に挙げたような新商品開発だけでなく、仕事とプライベートなど自分の生活をどう良くするか?品質とコストなど自分のお店をどう改善するか?シュートの正確性とキック力など部活でのスキルアップなど、一見両立できなさそうな関係性があることに目を向けて考えてみると、何か打開策が見つかったりします。
両方得られたらどんな未来が待っているかな?とポジティブに思考していくことが、革新的な良いアイデアを生むのだと、私は信じています。
だって何かを得たら、何かを失う=トレードオフじゃ無いほうが良いに決まってますから。
では、今回はここまで。また次回。
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